研究課題/領域番号 |
12610265
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
渡邉 満 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (30127740)
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研究分担者 |
上地 完治 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助手 (50304374)
八並 光俊 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (70210284)
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キーワード | いじめ / 不登校 / コミュニティアプローチ / コミュニケーション / 学校の閉鎖性 / 他者性 |
研究概要 |
本年度は、コミュニティアプローチをいじめ・不登校問題に適用する際に「外のコミュニティ」と「内なるコミュニティ」という2つの視座からの戦略が存在していることを明らかにし、それぞれの長所と短所を実践例の報告を通して解明した。 「外のコミュニティ」という視座は、学校を取り巻く地域社会のコミュニティに着目するものであり、「外のコミュニティ」と学校との関係性から2つのモデルに分類される。第一のモデルは、地域社会のコミュニティが学校の代わりに子どもの教育を積極的に担っていこうとする脱学校論的な試みである。学校の外に子どもの居場所をつくることが強調されるこの試みでは、両者の関係性は善と悪の二元論であり、「断絶」である。第二のモデルは、地域社会の支援を受けて学校を再生させようという取り組みである。これには、地域社会の人々という「他者」を学校に招き入れることによって学校の閉鎖性を打破しようとする意図と、人材の限られた学校を地域社会という「人材の宝庫」によって補完しようとする意図が存在する。ここでの学校と「外のコミュニティ」との関係性は「差異」ないしは「補完」であるといえよう。 「内なるコミュニティ」という視座は、上記の第二のモデルをさらに推し進め、学校自体を1つのコミュニティとして捉えるものであり、学校と地域社会との関係性は「内なるコミュニティ」と「外のコミュニティ」という2つのコミュニティ間の「相互作用」と表現される。この視座の下では、「内なるコミュニティ」を学校の構成員全員でより良いものへと改善していくことが強調される。そのためには、「内なるコミュニティ」のあり方や規範構造をその構成員たちが自ら吟味し変革することが重要であり、一般的な学校文化は絶えず批判と再構築の対象となるのである。
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