今年度は、昨年度のシステムズアプローチをさらに発展させたチーム援助とシステマティックな援助サイクルを特色とする生徒援助システムモデル(SST : Student Support Team)に基づいて、兵庫県内の公立中学校1校において実証研究を実施した。ターゲット生徒は中学校3年生である。本研究の成果としては、以下の2点があげられる。 第一に、非常勤のスクールカウンセラーとの密接な協動関係を構築した。その際に、昨年使用したデータベースならびに暗号化メールを活用した遠隔コミュニケーションづくりを行った。これにより、ターゲット生徒ならびにその保護者・スクールカウンセラー・学校教師間のコミュニケーション上の障壁が大幅に除かれた。チームメンバー間の即時的・持続的・非公開のコミュニケーションネットワークの確立に伴い、コミュニケーション頻度が高まり相互信頼性が増加した。そのことは、ターゲット生徒の心理的安定性の向上をもたらした。 第二に、中学3年生という特性上大きな進路不安を抱えていたため、学習面での援助に力点を置いた個別教育計画を策定した。チーム援助の力点は、進路相談を主とする学習および進路援助にあった。その結果、昨年同様に心理面ならびに学習面での高い向上が見られ、結果として進路達成意欲の上昇が確認された。
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