近年、文部科学省と地方教育委員会は、不登校や暴力行為など生徒指導・教育相談上の諸問題を抱える児童生徒に対処するため、様々な施策を行ってきた。本研究の目的は、地方教育委員会の生徒指導・教育相談のスクールサポート体制について、その効果的な施策を明らかにすることにある。教育委員会の生徒指導・教育相談の施策の動向を明らかにするため、2000年に47の都道府県教育委員会と12の指定都市教育委員会、及び60の都道府県・指定都市教育センターに質問紙を送り、48の教育委員会(81.4%)と51の教育センター(85.0%)より回答を得た。さらに、659の市教育委員会に質問紙を送り、429教育委員会(65.1%)より回答を得た。 この2つの調査の結果として、都道府県教育委員会は、生徒指導教員の加配とスクールカウンセラーなど教育相談員の配置及び増員を行っていた。市教育委員会も教育相談員の配置及び増員と、適応指導教室などの支援施設を設置していた。 2001年に教育委員会による生徒指導・教育相談の施策の効果を明らかにするため、回答のあった429市教育委員会が設置する845の中学校に質問紙を送り、365校(43.2%)より回答を得た。 回答のあった中学校では、不登校生徒が増えており、また生徒の反社会的問題行動は多様化していた。しかし、こうした状況に対して、多くの教師は、教師によって反社会的問題行動の対策はできると回答した。結果として、多くの中学校は、生徒指導教員及び教育相談員のさらなる増員、適応指導教室の設置、家族問題へのサポートを望んでいた。
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