研究概要 |
本研究の目的は,学校と家庭・地域の連携の実態把握と連携促進プログラムの開発にあるが,本年度はそのための準備段階として位置づけ,連携施策の実態把握とその可能性を探るために,主として以下のような研究を実施した。 第一に,四国4県の市町村教育委員会(216市町村)に対して,連携施策の現状と課題に関する質問紙調査及び資料の収集を実施した。その結果,市町村教育委員会において施策の取り組みが開始されているものの,全体として地域人材の活用などに偏り,かつ教育委員会としての組織的取り組みは弱いとの知見を得た。 第二に,学校と家庭・地域の連携に関する教職員の意識を把握するために,(1)自校の連携状況についての評価,(2)教職員の「開かれた学校」観,(3)教育情報公開や学校選択,学校評議員制度の導入などに関する意識,(4)対外的経営力量の形成機会などに関して,四国4県の約1,400校の校長及び教員に対する意識調査を実施した。校長の回答分析では,県として学校と家庭・地域の連携に取り組んでいる高知県では,「学校を開く」ことへの積極的姿勢がみられたものの,情報公開や学校評議員などに関しては全体として消極的回答が多く,学校を開くことへの意識レベルでの抵抗感を示している結果であった(日本教育経営学会にて発表)。教職員の回答(約4,500人)は,現在分析中であり,2001年度の日本教育経営学会において発表する予定である。 第三に,全国に先駆けて連携を支える学校協議会を設置している高知県(中村市,南国市,須崎市,野市町,奈半利町,十和村,葉山村),滋賀県栗東町,岐阜県の9つの教育委員会を訪問し,その設置背景,経緯,活動内容,改善課題等に関するインタビュー調査及び資料の収集を行った。その内容は整理・検討中であるが,2001年度の日本教育行政学会において発表する予定である。
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