研究概要 |
本研究の目的は,学校と家庭・地域の連携の実態把握と連携促進プログラムの開発にあるが,本年度は昨年度に引き続きそのための準備段階から検討段階としても位置づけ,連携施策の実態把握・分析とその可能性の探索をさらに進めるために,主として以下のような研究を実施した。 第一に,学校と家庭・地域の連携に関する教職員の意識を把握するために,昨年度実施した四国4県の約1,400校の校長及び教員を対象とした意識調査のうち,主に教職員の回答(約4,500人)の分析を進め,日本教育経営学会第41回大会(6月10日,奈良教育大学)において「学校・家庭・地域の連携と教職員の対外的経営力量に関する研究(2)-小・中学校の教員調査を中心に-」として発表した。教員では校長と共通して「開かれた学校」づくりに関して,学校運営は基本的に教職員に任せてほしいとする回答が全体として多く,学校を開くことへの意識レベルでの抵抗感が容易には変容しにくいことを示す結果であった。 第二に,全国に先駆けて連携を支える学校協議会を設置しており,昨年度インタビュー調査及び資料の収集を行った9つの教育委員会のうち,主に高知県内の市町村についての回答・資料を分析し,日本教育行政学会第36回大会(11月4日,日本女子大学)において「「学校と家庭・地域の連携」施策の有効性を規定する行政的条件に関する研究-高知県の市町村を事例として-」として発表した。高知県における「地域教育推進協議会」「開かれた学校づくり推進協議会」の設置,地域教育指導主事の派遣などの施策の成果についての現状分析と課題を検討した。 第三に,学校と家庭・地域の連携に関する保護者の意識を把握するために,(1)子どもの通う学校の連携状況についての評価,(2)学校教育に対する期待内容,(3)学校教育への参加に関する意識と関与意欲,(4)学校選択制度や新教育課程,学校評議員制度の導入などについての認知や意識などに関して,学校規模や地域特性などを考慮して抽出した小学校12校,中学校8校の児童・生徒の保護者に対する意識調査を実施した。その回答は集計・分析中であり,2002年度の日本教育経営学会大会において発表する予定である。
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