研究概要 |
本研究は,学校と家庭・地域の連携に関する校長・教職員・保護者の意識の実態把握と連携促進プログラムの開発にあるが,本年度は最終年度として,以下のような研究を実施した。 第一に、昨年度実施した全国20の小・中学校の保護者調査(約3,300人)の分析・検討を行い、その結果を日本教育経営学会第42回大会(岡山大学)及び日本教育行政学会第37回大会(東京都立大学)、日本教育社会学会第54回大会(広島大学)にて分担発表した。主な内容は、(1)保護者の学校教育に対する期待の内容、(2)保護者の学校教育に対する評価、(3)学校教育をめぐる保護者の意見、(4)学校への関与意欲、(5)学校選択への賛否及び学校評議員・総合的な学習の時間の認知度、などである。これらの結果については更なる分析を加え、関連の学会誌及び大学の紀要等に投稿する予定である。 第二に、開かれた学校観についての教員調査の結果は日本教育経営学会紀要に審査を経て掲載された。また高知県の地域教育指導主事に対するインタビュー調査の結果は日本教育行政学会年報に審査を経て掲載された。本研究が学会レベルで一定の評価を受けている証左と考える。 第三に、このプロジェクトで考えた連携促進プログラムをZ県Y小学校に導入し、可能な連携活動プログラムを実施してもらい、児童・保護者・教職員の意識変容を探るアクション・リサーチを実施した。その概要は、学校内に保護者・住民・教職員からなる「学校支援委員会」を設置し、そこでさまざまな連携活動を考案し、学校とPTAに提案して承認を受けたものを実践していくという極めて機動的なプログラムである。子どもの活動や成長を中心に据えて考えたプログラムは保護者・教職員・住民にも好評で、これらの活動に積極的に関与した児童・保護者の意識の変容は顕著であったこと、また通常、高い期待の4月から時間を経るにしたがって低下する傾向のある児童・保護者の意識が10月段階でも高い位置で維持できたことは、このプログラム一定の有効性を示しているものと思われる。 第四に、最終年度に当たる本年度は、これまでの一連の研究の成果をふまえ報告書にまとめた。
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