自由化・個性化・多様化の方向で教育システムをシフトしていこうとする「第三の教育改革」の中で、これまでの教育システムは、大きく変容しようとしており、学校や教師の果たす役割も変化を迫られている。 こうした状況を踏まえ、従来の日本の教育システム=「日本型学校モデル」が1)現在どのような変化を求められているのか、2)「日本型学校モデル」の功罪は何か、について明らかにすることが、本研究の目的である。平成12年度は、まず「日本型学校モデル」という概念を整理し、次に、その功罪を検討するための比較資料を入手し、若干の考察を行った。 「日本型学校モデル」は、1)教師と生徒の人間関係、2)教える内容(学校の役割=教科に限定されるか否か)、3)教えるための方法、4)教師の同僚関係というようなディメンジョンにおいて特徴を持っており、それは「日本的集団」や「日本的経営」で示されてきた特徴と軌を一にするものであることが確認された。それを踏まえ、「日本型学校モデル」における功罪(問題点と利点)は何かを明らかにするため、今年度は、とりわけ4)の「同僚関係」にしぼって、ニューヨーク州のメンター制度と比較検討した。 その結果、ニューヨーク州のメンター制度は、わが国で培われてきた行動や教師文化を、より合理的に編成し、制度として導入しようとするものであること、すなわち、個人主義の文化の中で、教師の職業的成長が十分に保障されていないことから導入されるサポートシステム(=メンター制度)は、経験のある教師と新任教師の間での、「場・時を共にしながら」相互の「信頼関係」に基づいた「優れた教師の技を見せる-盗む」という相互関係を形成し、さらにそれをより合理的・計画的に実行するものであった。 ここに、わが国における「日本型学校モデル」の優越性をひとまずは認めることができたが、今後平成13年度は、まだ着手していないインタビュー等の分析も含め、より詳細に検討・考察を行う予定である
|