本研究は、2年目の最終年度に当たる。 本研究が意図してきたことは、「第三の教育改革」の中で、従来の日本の教育システム=「日本型学校モデル」が、どのように変化しているのか、どのような変化を求められているのかを明らかにすることであった。 「日本型学校モデル」は、わが国における文化や集団編成のあり方と密接に関連しているが、分析的にはいくつかのディメンジョンに分けて考えることが出来る。それは、教師役割、同僚関係。教師-生徒関係、カリキュラムの編成の仕方等々であるが、この中で、前年度より中心的に検討してきたのが教師の同僚関係であった。 昨年度のニューヨークでのメンター制度との比較に続き、今年度は、カリフォルニア州(ベイエリア)で実施されているteacher development programの実際を調査し、わが国の同僚関係のあり方を考察した。CAで行われていたTDPの具体例としては、1)NBPTS (National Board professional Teaching Standards)の有資格教師が、新任教師の助言をする 2)NBPTS有資格教師と新任教師がT・Tをしながら、教育効果を高める共同作業を行うというようなものであった。これらの発想の基底にあるのは、「職員室で様々な会話をしながら、情報や技術を交換し合う」日本の教師集団における教育力を、意識的に、個人主義的文化土壌の強いアメリカに移植しようとするものである。 教師の職業的発達や教育効果を高める上での同僚性の獲得が、わが国の「職員室文化」には存在していたことを、改めて確認し、さらに多忙化の中で崩れようとしてしている状況をどのような形で再構築することが出来るのかの課題が残された。
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