ドイツ連邦共和国現地調査(8月18日から9月27日)の概要は、次の通りである。 1.アリス・ザロモン社会事業大学(ベルリン)、ケルン社会事業大学、フランクフルト専門大学社会事業学部など、計7校の社会福祉系大学を訪問し、教育福祉専門職養成課程の実態について調査した。このうち2校については学部長から直接、特にそのカリキュラム構造上の課題について聞き取り調査を行うことができた。2.この分野の研究の第一人者であるドルトムント大学ラウシェンバッハ教授と研究交流を行ったのをはじめとして、(1)ソーシャルワーク研究所(ミュンスター)、(2)ドイツ青少年研究所(ミュンヘン)、(3)ドイツ公私福祉連盟(フランクフルト)、(4)ドイツ国際教育研究所(フランクフルト)、(5)同研究所教育史図書館(ベルリン)などを訪問し、研究動向の調査と歴史資料の収集を行った。3.バイエルン文部省、ベルリン文部省、ドルトムント市ならびにフランクフルト市教育委員会、青少年事務所などでも聞き取り調査と資料収集を行った。またアリス・ザロモン社会事業大学ローマン教授を、12月に本学(京都府立大学)に招聘し、研究交流する機会を得た。 これらの調査を通じて、教育福祉専門職の養成課程をめぐり、その学的構成と構造、各職種ごとの分化と一体性の確保、教職及び社会福祉関係職との関連などが活発に論争されていることが明確になった。また関連して、兵役代替措置としての「社会奉仕活動」の実態の解明も、意義ある課題であることが明らかとなった。 わが国の現状把握については、3月に東京で、大学における教員及び教育福祉専門職養成の現状と今後について、資料収集するとともに専門研究者との交流を行った。現在は以上の経過の上に、特にドイツ調査で収集した資料の整理・分析の作業に鋭意取り組んでいる。
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