1.ドイツにおける教育福祉職=社会的教育職の養成、資格制度の歴史的展開は、19世紀後半から20世紀初頭にかけての、(1)フレーベル保育者養成運動、(2)ブルジョア女性運動穏健派によるゾツィアルアルバイター(ソーシャルワーカー」)養成運動(3)政府による「青少年育成」政策、そして(4)「青少年教護」改善運動、の4つの系譜に区分して整理することができる。 2.今日、ドイツの福祉系専門大学ではカリキュラム改革が精力的に行われており、その中で「社会的教育学」の内容、構成をめぐる議論が活発に展開されている。またその中で「異文化間教育」体系化の試みも活発化している。 3.福祉系専門大学のカリキュラムは、総合大学教育学部のそれとは相当異なっている。すなわち必修科目数が多く、内容的にも多岐にわたっているしかも現実的応用的性格の強い科目が多い。ただし学習内容が拡散しないように、重点領域を設定するなど、各大学ごとにさまざまな工夫を行っている。 4.ドイツの教育福祉職の養成、資格制度が、わが国の現状に対して示唆するものとして、特に次の諸点をあげることができる。 (1)福祉系専門大学、総合大学教育学部を問わず、共通して各種の「実習」や「職業実践」等がカリキュラムの中心にしっかりと位置づけられており、理論と実践を通じての学習、研究、養成という理念が実態化している。 (2)教育福祉専門職に対して「社会的教育者/ゾツィアルアルバイター」などの共通の資格が設けられており、このことが、卒業生が職場を開拓していく際に大きな意義を持つものとなっている。 (3)ドイツでは、地域青少年に対する「青少年活動」の分野で多くの専門的職員が活動している。わが国においてもこれらの職員配置の重要性は常に問題とされているが、現状では大きく立ち後れていると言わざるを得ない。
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