本研究は高学歴女性の晩婚化の規定要因を分析することを目的としている。これまで晩婚化の説明として5つの仮説が提案されてきた((1)Becker仮説、(2)Easterlin仮説、(3)パラサイト・シングル仮説、(4)育児・休業制度に注目した研究、(5)ジェンダー・トラック仮説)。 本研究では、首都圏の女子大学と共学大学を卒業した28〜38歳の女性を対象に調査を行い、5つの仮説の検証を行った。 1.初年度は職業系女子大学と中間系女子大学の卒業生調査を行った。第2年度は共学大学と教養系女子大学の卒業生調査を行った。最終年度は、これらのデータを合わせた1993票の分析を行った。 2.結婚行動の規定要因を明らかにするため、同年齢集団(28-33歳グループ、34-38歳グループ)の中で、2001年度に結婚した者と未婚にとどまった者の比率を従属変数として、ロジステック回帰分析を行った。分析の結果、「社会的・職業的自立意識」が両年齢層において一貫して結婚確率を高めていた。また、客観的指標とした「専門・管理・事務職」は、28-33歳層の性別分業意識非所持者においてのみ結婚確率を高めていた。分析結果の一部は以下の口頭発表を行った。(1)「大卒女性の結婚行動の規定要因」第50回関東社会学会大会(2002年6月)、(2)「大卒女性の結婚行動に関する研究」第75回日本社会学会大会(2002年11月)。 3.社会的・職業的自立意識と結婚行動との関係をより詳細に考察するため、2002年8月〜9月にかけてインタビュー調査を行った。インタビュー調査の対象者は、共学大学、女子大学を卒業した28-38歳の女性、未婚者1名(転職経験者)、既婚者4名(結婚退職者、就業継続者、就業継続後退職者)である。インタビューの結果、「社会的・職業的自立意識」が結婚の意思決定に強く影響していることが明らかになった。 4.これまでに行った調査結果を整理し、報告書を作成した。
|