研究概要 |
第2次大戦の末期,国家によって教育に関する非常措置が講じられる中で,日本の産業教育は歴史的な地穀変動を起こした。特に軍需工業の技術者養成に重点が置かれたため,商業教育や農業教育などにも多大の影響が及んだ。 本研究は,戦時体制下の産業教育の改編状況を解明するとともに,戦後における新教育制度の発足により,それらが復旧ないし再編される実態を明らかにすることを目的とする。そのため,本年度は次の3方向の作業を進めた。 (1)国立公文書館には,戦後になって文部省から移管されたぼう大な量の学校関係簿書が保管されている。その中から,工業,農業,商業に関係する大学,専門学校,中等学校の「学校設置・廃止に関する許認可文書」を調査し,学校ごとに戦時中の改編および戦後の再編に関する資料を筆写ないし複写した。 (2)国立国会図書館,国立教育研究所などに所截される府県教育史,学校沿華史,新制高校成立史などの文献について,関係部分を筆写ないし複写した。 (3)収集し得た資料を整理して,(1)本主題に関する全国的な概状を把握し,(2)代表的な事例についてさらに関係する資料を加えた事例考察をし,(3)日本の産業教育史における第2次大戦の影響関係を明らかにするという作業を進めつつある。 資料収集になお不十分な点があるため,最終的な成果報告は次年度以降となる。
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