本年度の研究実績は以下のとおりである。 1. 豊前地域の私塾、特に水哉園(行橋市)と蔵春園(豊前市)を中心とした史料調査を行った。それにより以下のことが判明した。 (1)水哉園には、「仏山堂日記」以下の日記が残されており、村上仏山の教育活動を初めとして諸活動の詳細を知る手がかりになることが分かった。 (2)同じく「仏山堂詩抄」を初めとする詩集が残されており、また行橋市教育委員会に所蔵されている書簡によって、詩集編纂の様子を知ることができた。 (3)蔵春園については、若干の日記類が残されているが、水哉園に比べて史料的に少ない。今後恒遠醒窓の教育活動を表した史料の発掘が課題となった。 2. 史料のデジタル処理については、デジタルカメラの性能の向上によりかなり鮮明な画像が可能となり、また処理スピードも向上した。12年度収集した史料については、13年度においてデジタル処理する予定である。 3. 水哉園、蔵春園を成立させた周辺の文化状況については、詳細を明らかにすることはできなかった。 行橋市教育委員会が、所管地域内の金石資料調査を進めるのに付随して、師匠塚などの資料調査を継続して行うこととしたい。
|