本年度の研究の経過 本研究は、3年間の研究計画を持ち、本年度は2年目に当たる。研究計画としては、現地調査を含めて、旧西独地域11州での「学校の自律性」を拡大・推進する学校法の改正状況の把握とその理解、法規の内容の精査を行う年度であった。 常設文部大臣会議(KMK)事務局をはじめとする現地訪問調査(2001年8月に実施)の一定の成果もあって、旧西独各州の動向がかなりはっきりしてきた。とりわけ、ヘッセン州・ノルトラインヴェストファーレン州・ニーダーザクセン州・ハンブルク州・ブレーメン州などの北部諸州でその改革が顕著に進んでいることが、明らかになりつつある。しかしながらこうした諸州改革は、「学校の自律性の拡大」というキー概念でそれぞれ括ることが可能ではあるものの、それぞれの州において改革の背景が異なる。例えば、ヘッセン州での「学校の自律性」改革が、財政問題との関連で登場したのに対して、その北隣に位置するノルトライン・ヴェストファーレン州(NRW州)では、「教育政策上の公共性(bildungspolitische Offentlichkeit)」に関する九〇年代の議論と結びついて登場してきている。またハンブルク州は、教育への州の責任を強化するためなどである。 本年度の調査・研究で各州の動きとその概要がおおよそ明らかになりつつある。次年度は一層の検討を加え、上述北部諸州の動きをまとめていきたい。
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