平成12年度-13年度においては、研究実施計画にもとづいて、単式授業と複式授業を組み合わせるという基本構想のもとに、総時数(校時)40数時間の研究授業を実施した。あわせて計画外の授業観察やカルテ等の資料収集も行ってきた。最終年度の平成14年度においては授業記録の作成を中心とした資料整理に力を注ぎ、国語と社会を中心に20数時間の授業記録(研究成果報告書収録)を作成し、考察を行った。その際、3年生から4年生への発達・変容に対する基本的な視点は(1)「立体的把握から時間的把握へ」の変容と(2>「量的バランスから構造的バランス(または擬制的バランス)へ」の変容である、これと関係して、以下の3点が明らかになってきた。 1.立体的把握から時間的把鐸への移行過程の分析視点として、つぎの2点が重要である。 (1)二者(例:川と道)の関係の把握に第三者(例:田)がどのように介在するか。 (2)対象をどのような連続的な存在(例:次々と二つに分かれていく道)として把握するか。 2.授業において、ある疑間を追究するのに、3年生は4年生よりむしろ推論や想像を重視するのに対して、4年生は情報や知識等でそれを解決して先へ進もうとする。 3.4年生の時間的把握は、自己の内面を時間的変化としてとらえる傾向を導き、さらに自己の考えにかかわりをもつ他の児童の考えへのより深い関心を招く。これが4年生の量的バランスから構造的バランスへという思考体制の深まりに大きなかかわりをもつ。
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