平成12〜14年度の研究実施計画にもとづく研究授業は、単式授業と複式授業を組み合わせるという基本構想のもとに、予定通り実施した。研究成果報告書に収録した授業記録は、総時数40数時間のうち、国語と社会に限定した23時間分である。その考察を通して、3年生と4年生の思考と認識の様相とその相互関連をとらえる線点として、以下の3点が浮かび上がってきた。 1.3年から4年への思考と認識の発達は、基本的には、3年の立体的、3次元的把握から4年の時間的、4次元的把握への移行と考えているが、その移行の中心は、これまで考えていたよりも半年ほどあとにくる。またその分析視点として(1)二者(例えば川と道)の関係の把握に第三者(例えば田)がどのように介在するか、また(2)対象をどのような連続的な存在(例えば、次々と二つに分かれていく道)として把握するか、という二つが重要である、と考えられる。 2.授業において、ある疑問を解決するのに、3年は4年よりもむしろ推論や想像を重視するのに対して、4年は情報や知識等でそれを解決して先に進もうとする。 3.4年生の時間的把握は、自己の内面を時間的変化としてとらえる傾向を導き、さらに自分の考えにかかわりをもつ他の考えへのより深い関心を招く。例えば4年の児童ノートは、級友の考えへの言及に満ち、.それを通して自分の考えをつくっていこうとする傾向が強く現れてくる。これには、3年から4年への発達をとらえる基本的な視点(1)立体的把握から時間的把握へ、(2)量的バランスから構造的バランス(ないし擬制的バランス)へ、ということが深いかかわりをもっている。
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