(1)文部省の権限に関する日本・ドイツ・オランダの比較法制的考察 わが国、ドイツ、オランダの「国家の学校監督」法制史を概観したうえで、現行法制下において、文部省がどのような教育事項について、いかなる形態の権限(許認可権・指揮監督権・基準設定権・指導助言権など)を有しているかを、これら3ヶ国の実定法制・判例・学説を分析・検討することによって明らかにし、比較法制的な観点から考察した。 (2)ドイツの「学校共同体的・参加型」学校法制とオランダの「教育の自由・選択型」学校法制の構造分析 上記のように特徴づけられるドイツとオランダの学校法制について、いうところの「学校の自律性と自己責任」とかかわって、以下のようなメルクマールを摘出し、その法的構造を明らかにした。(1)地方教育行政当局の学校管理・監督権、(2)ナショナル・レベルの教育課程基準と各学校の教育課程編成権との関係、(3)教科書検定制度と教科書・補助教材の採択制度、(4)校長の法的地位と権限、(5)学校の人事上の権限(校長・教員の選任権)、(6)学校財政システムと学校の財政自律権、(7)教員・親・生徒・地域住民の教育行政や学校経営への参加制度、(8)学校のアカウンタビリティーと学校評価、(9)学校教育における選択の自由。
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