(1)ドイツの「学校共同体的・参加型」学校法制とオランダの「教育の自由・選択型」学校法制の構造分析 前年度に引き続いて標記の法制研究を行なった。すなわち、ドイツとオランダの学校法制について、いうところの「学校の自律性と自己責任」とかかわって、以下のようなメルクマールを摘出し、その法的構造を明らかにした。(1)地方教育行政当局の学校管理・監督権、(2)ナショナル・レベルの教育課程基準と各学校の教育課程編成権との関係、(3)教科書検定制度と教科書・補助教材の採択制度、(4)校長の法的地位と権限、(5)学校の人事上の権限(校長・教員の選任権)、(6)学校財政システムと学校の財政自律権、(7)教員・親・生徒・地域住民の教育行政や学校経営への参加制度、(8)学校のアカウンタビリティーと学校評価、(9)学校教育における選択の自由。 (2)ドイツの教育関係者に対するヒアリングの実施 上記(1)の法制研究や実証研究を実施するための知見や資料を得るために、平成13年11月10日から同24日までドイツに出張した。今回の出張では、ドイツ連邦共和国防衛大学、ハンブルク州文部省、公行政専門大学、ザクセン州文部省、ドレスデン工科大学、ドイツ国際教育研究所、ケルシェンシュタイナー基礎・基幹学校、ヘッセン州文部省、ラインラント・プファルツ州文部省を訪問し、教育行政の衝に直接あたっている責任者やこの面で既に優れた業績を公刊している研究者から、特に90年代以降における学校の自律性をめぐる法制と理論、直面している問題と今後の課題等についてレビューをうけた。
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