本研究は、従来ほとんど確認、整理されてこなかった国内の「都市の生活記録(モノグラフ)」資料を目録化し、関心を同じくする研究者等がアクセスできる形で公表することを目的とする。多くの資料は、自費出版や私家版、地方小出版社発行であるため、現地で出掛け調査する必要がある。具体的には、各地の公立図書館(主として都道府県立図書館および主要都市の市立図書館)を回り、資料を確認している。今年度も、昨年度に引き続き、膨大な「都市民俗生活誌」資料を収集、整理、分析した。本年度は、秋田、青森、岩手(補足)、福島、群馬、新潟、石川、静岡、岡山、島根、香川、愛媛、沖縄の13県に出張し、資料の確認を行った。その結果、魅力的な資料を発掘できた反面、記録される都市が偏在すること、旧城下町など歴史的都市の記録が意外に少ないことが分かった。調査の中間報告を日本民俗学会で行い、また、単行本や学術雑誌等で、関連する調査成果を公表した。なお、次年度(最終年度)では、これまで未調査の富山、福井、山梨、岐阜、愛知、三重、滋賀、奈良、和歌山、山口、鳥取、徳島、大分、宮崎、鹿児島、熊本の16県で資料調査を実施し、補足として長野、東京、神奈川の3都県で資料の再確認を行う予定である。
|