研究課題/領域番号 |
12610308
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
岩井 正浩 神戸大学, 発達科学部, 教授 (80036392)
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研究分担者 |
川内 由子 四国大学短期大学部, 音楽科, 講師 (20224727)
アルバレス ホセ 英知大学, 文学部, 助教授 (30278767)
久万田 晋 沖縄県立芸術大学, 附属研究所, 助教授 (30215024)
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キーワード | エイサー / 阿波踊 / よさこい祭 / 民俗芸能 / 民謡 / 継承・伝播・創造 |
研究概要 |
2年度は、6月に札幌市の第10回YOSAKOIソーラン祭を調査した。さらに8月には高知市の第48回よさこい祭と阿波踊、さらに名古屋市の第3回にっぽんど真ん中祭を調査した。また、実際にパフォーマンスも高知市と神戸市の第2回垂水よさこい祭で体験した。高知市と札幌市の都市における新しい祭りは継承というより常に変容と創造を繰り返してきている。一方、徳島の阿波踊は自由な表現を精緻な高みに揚げ、継承や伝播という感覚ではない。ただ、札幌市は参加人数が大規模となり、市民との交流が疎遠になりつつある。しかし今年から導入した<輪踊り>は、伝統的な盆踊りの形態を現代風に変容させ、市民・観光客が気軽に踊れる場を作り出している。高知市も<総踊り>や<全国サミット>で、踊り子同士の全国規模での交流を図っている。さらに「高知市民憲章チーム」をはじめとする飛び入り参加を継続させてきており、数百名の参加者を得てきている。法被を無料で提供し、市民レベルの祭りとして半世紀という歴史を作り出してきた。そこには世代の幅(保育園児から90才のおばあさんまで)と「てんてこまい」のような障害者チームがバリアフリーを果たしてきている。 一方、札幌市と高知市以外でも全国80箇所でよさこい系の祭りが誕生または継続してきている。しかし課題も出てきている。それは音楽の一部に地元の民謡を内包させるという最低限の原則が作られず、高知市や札幌市の『よさこい節』や『ソーラン節』の音楽をそのまま使用しているという点である。これがクリアーされない限り、新しい都市の祭りは行き詰まりをみせる危険性がある。 なお、口頭発表は、日本民俗音楽学会(名古屋市)で行ない、論文は2本発表した。
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