平成12年度から平成14年度の3年間にわたって「旧ソ連の民族問題」研究のためロシア、ウクライナ、エストニア、ラトヴィア、リトアニア、アルメニア各国を訪問し、それぞれの国の大学(サンクトペテルブルグ大学、キエフ大学、エレヴァン人文大学等)を訪問し、情報や助言を得るとともに、大学内の書店および各国市内の書店をめぐって当該研究に関する図書、文献、資料を収集してきた。同時に日本国内で入手した図書、文献、資料を交えて国際情報雑誌「世界週報」および海上保安大学校50周年記念論文集に論文を発表し、最後のまとめとして研究成果報告書(冊子)を作成した。 「旧ソ連の民族問題」と言うと、中央アジア諸国の民族問題も大きなウエイトを占めるが、これを含めると地域的にあまりにも広域すぎるし、問題が多岐にわたるので、この課題を計画する当初から割愛することにした。したがつて研究成果報告書では、まず第1章でロシア連邦内の民族問題、とりわけチェチェン紛争に焦点を当て、その現状と背景を探った。第2章では19世紀帝政ロシア時代から現在に至るロシア・ソ連のユダヤ人問題を、第3章ではソ連解体後のロシア・ウクライナ関係を、第4章では同じくソ連解体後のロシアとバルト3国の関係を、第5章ではザカフカスの民族問題(アブハジア紛争・南オセチア紛争、ナゴルノカラバフ紛争)をそれぞれ取り上げて考察した。
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