1)オーストラリア(以下「豪州」)先住民族(アボリジニ)の土地権・水域権・資源主権・環境権/開発拒否権をめぐる事例について網羅的に情報収集した。主な情報源は、豪州マスコミ報道(主にインターネットで入手)、諸々の先住民族組織の発信媒体、豪州国立先住民文化研究院の先住権問題彙報である。 2)収集情報を事例ごとに資料評価・項目分析し、Mac OS9上でFileMaker Pro5.0Jv3を用いて入力して、簡易データベース化した(容量1.9MB、件数1043件、件毎フィールド数106)。インターフェイスとして6種類の画面レイアウトを用意し、検索目的に応じて使いわけるようにした。 3)特に詳細に情報収集したのは、ヴィクトリア州のヨダヨダ訴訟(マレー川流域の土地・水域権の事例)、西オーストラリア州のミリウォンガジェロン訴訟(オード川総合開発をめぐる事例)、北部準州のジャビルカ鉱山開発紛争(ウラン開発と環境保全・文化保全が対立した事例)である。 4)次年度以降は上記データベースを充実させる作業を継続すると同時に、重要事例について実地調査をおこなう。実地調査にむけて本年度は先住権審判所(NNTT)、いくつかの土地評議会(地域によっては土地水域評議会)、環境保護団体、現地研究者などと連絡をとった。 6)2000年から2001年初頭にかけて、豪州では先住民族の社会的地位をめぐって注意すべき動きがいくつかあった。過去の親子強制隔離政策に対する国家謝罪をめぐる国民をあげての論争(いわゆるSorry debate)、もっとも保守的といわれるふたつの州での政権交替、そして一時は失速していた極右政党の党勢復活である。これらの動きは本研究における分析対象と密接に関連するため、上記データベース構築とは別個に情報を収集し整理した。
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