昨年度に引き続き、平成13年8月27日から9月9日まで、中国、新疆ウイグル自治区において、現地調査を行った。調査地も前回と同じホータン郊外の農村である。 新しい小学校が1つの郷に3つ設立された。1人子政策にも関わらず子どもの数が増加している。その一つを訪問した。問題は教師の学歴が低い、給料が安い、予算がないこと。民族関係についての教科はないが、道徳の時間にウイグル民族と文化について話す、食習慣など漢民族との違いなど。民族団結は重要である。漢語も重要だから2人の先生がいる。出席率は農繁期をのぞけば97%。卒業生はほとんど農業だが、利益にならないから他の職業が増えている。 イスラムに関してはホータンでもワッハビーといわれるイスラム改革派が増えている。改革開放によってメッカ巡礼に多くの人が行くようになり、サウジアラビアの影響だと言われる。かれらは葬式、結婚式などの儀礼慣習を簡素化し、それの費用を貧しい人に与えたらよいという。彼らの主張は、マザール(墓)に興味がない、ムハンマドは人間である、コーランとナマズ(礼拝)だけあればよい、というものである。ワッハビーは知識人や商業人に多く、農民には少ない、ホータン近辺に20%〜30%いると推測される。 結婚についてはこの地域は早婚が多かった、それはイスラムの影響でもあった、女性は9歳、男性は12歳で結婚が許された、以前は寿命が短い、戦争が多かったなどの理由もある。また孫(特に男子)をほしいと言うことで子に結婚を急がせることもある。また中国以前のイスラムの習慣として、一夫多妻が一部で行われていたが、中国体制下に入ったとき、経過措置として無理に解消させることなく、黙認された。 また、キタイ(清国)から中華人民共和国まで、幾たびの異なる体制下の歴史の経験を100歳以上といわれる古老から聞き書きした。
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