1.2001年7月20日より8月30日まで、西スマトラ州にて現地調査。調査は、ソロック県、パダン・パリアマン県、リマプル・コタ県など4個所で行なった。 2.ソロック:タナー・ウラヤット保有の主体が、カウム(母系リネッジ)であり、20世紀初頭オランダ企業のプランテーションとされた。それが1966年以降軍と地方政府の事実上の所有とされた。当該カウムは正当な保証を求めて提訴しているが、地方自治法の下で復活したナガリ(母系慣習浩村)の代表者は、その運動に冷淡で、地方自治の復権が住民の権利拡大につながらないケース。 3.パダン・パリアマン:経過はソロックに似ているが、タナー・ウラヤット「所有」の主体がナガリである。ところがタナー・ウラヤットの利権をめぐりナガリ内で対立しており、ナガリが分裂している。 4.リマプル・コタ:オランダ時代から牧畜業に利用されてきた。1970年代から、西ドイツの資本を導入して、商業用牧畜が行なわれ、従来農民も利用可能だった唯一の水源が、軍と政府系企業に独占され、農民の農業用水、飲料水が不足した。改革時代になって、農民が権利を主張し出したら、警察の激しい弾圧を受け、こうした局面でスハルト時代はまだ終わってはいないことがわかる。 5.2001年5月24日、ある研究会で、タナー・ウラヤット問題をポストコロニアル・ディスコースの観点から捉えた。また2001年8月28日、国立パダン大学で、"Tanah Ulayat dan Kebijaksanaan Pembangunan"(タナー・ウラヤットと開発政策)と題して調査報告を行なった。
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