本年の主な研究活動は、昨年と同様 島根大学図書館蔵「山陰新聞」のマイクロ版をコピーして在来産業関係記事を整理したことと、3件の史料調査をしたこと、その成果として、二本の論文を書いたことである。本年は、大正2年から昭和12年までの新聞記事をコピーし、順次切り抜き整理している。主な切り抜き記事は、農業、木炭業、和牛生産畜産業)、養蚕業、製糸業関係である。大正、昭和の記事は未だコピーのみで、来年度はこれを順次切り抜き、整理していく予定である。また、広島県福山市に3泊4日、山口市に3泊4日、徳山市に2泊3日して、史料調査し、塩業関係、織物業関係史料を多数収集した。それらを分析して、「近代在来産業の展開と地域の特性-塩業と織物業を中心にして-」を『山口県史研究』第10号に掲載の予定である(平成14年3月29日刊行予定)。また、今年度は、島根県仁多郡仁多町桜井家史料をはじめて閲覧させていただき、たたら製鉄関係史料1500コマを撮影した。そしてフィルムを焼きつけ、解読、分析して、「近世期鉄師頭取桜井家史料について」(『有馬毅一郎退官記念論文集』所収)を発表の予定である(平成14年3月31日刊行予定)。桜井家の史料は、はじめて公表されるものであり、近世期のたたら製鉄の経営を明らかにするために今後も調査を続ける予定である。
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