研究概要 |
平成12年度は,肥後国一宮制の研究のために,関係史料を収集した。肥後国一宮である阿蘇神社関係史料(含二宮甲佐神社関係史料)を集めるために,熊本県立図書館が撮影した『阿蘇神社文書』・『阿蘇惟之氏所蔵文書』のマイクロフィルムの複製版を入手した。また肥後国三宮と考えられている藤崎八幡宮を収集するために,熊本市史編纂室が撮影した『藤崎八幡宮文書』の中世関係文書のマイクロフィルムの複製版を入手した。 本年度は,熊本県立美術館・熊本大学にある阿蘇家文書の収集や阿蘇神社鎮座地である熊本県阿蘇郡一の宮町,同郡小国町等で阿蘇家関係文書の史料調査・写真撮影を行なう予定であった。しかし史料調査の段取りや日程の都合で,次年度(平成13年度)に行なう事になった。 本年度は,次年度に行なう予定であった筑前国一宮制に関して,筑前国一宮といわれている筥崎八幡宮関係史料を収集した。宮崎八幡宮の事実上の荘園領主である石清水八幡宮の文書の中から,筥崎八幡宮関係文書を収集した。この作業は,東京大学史料編纂所において行なった。また次年度以降計画していた日向国一宮制にかんして,国衙と密接な関係を有す妻万神社関係史料も一部分を収集した。また平成7年度奨励研究(A)で収集した筑後国一宮制に関係する史料で収集できなかった『高良山厨家舊記』を東京大学史料編纂所で収集したし,平成7年度奨励研究(A)で収集した薩摩国・大隅国一宮制関係史料の整理も行なった。その成果に基づいて,日向国一宮の可能性も想定される妻万神社領と日向国建久図田帳に記載されている高知尾荘(現在の宮崎県西臼杵郡高千穂町・日之影町)関係や薩摩国一宮新田八幡宮(現在の新田神社),大隅国一宮大隅正八幡宮(現在の鹿児島神宮)の宮領領主建部氏関係の原稿・論文を作成した。
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