研究概要 |
本年度の調査は、昨年度の水間地域の成果を受けて、1古文書調査と、2地域調査を行なった。 1、古文書調査は三ツ松の「妙順寺(南家)」、森の「稲荷神社文書」、福田村の「福原家文書」の調査を行った。いずれも近世・近代文書で中世文書は無かったが、南家の「泉州木島南氏之伝記」、同「系図」は中世の木島地域を考える上で重要なものである。この記録中で登場する「興正寺」が現在の「興禅寺」であるとの伝承があり、追究したが聞き取りの範囲では不明であった。 2,地域調査は(1)水利と(2)村座の調査を行った。(1)前年度の木島本井の水路踏査に引き続き、三ツ松・森地区の水利調査をした。木島井はこの地域でa森の大池に入る、b上代利用分、c森へ流れるオオミゾの三つに分かれる。「森の大池」からはさらに「集原池」に余水が入ることが確認できた。 (2)村座では、三ツ松に大村座・稲荷座・林座があり、大村座は現在でも活動をしている。しかし、これらの座は宮座としての活動は希薄で、今は親睦団体となっている。加入は負担はあるが任意であり、地域的・血縁的な区別はない。こうした点水間の寺座・座中とはかなり性格が違う。今後、中世史料に確認できる「大村」等との関係が課題となる。 3,研究会の中では、「かりそめのひとりごと」中の、天文七年とされる森の稲荷神社の「初午神事」等の検討が進んだ。難解であったが、木島上・下荘をあげて、地頭や神主も関わる神事であることが明らかとなった。
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