平成14年度は、前2か年分に引きつづく栗橋関所、栗橋宿および渡船場、特に渡船関係の史料補充の調査と整理作業を行った。なお、宇都宮市内の某氏蒐集史料は、栃木県文書館に寄託されており、栗橋関所等の史料を閲覧したが、ここには関連の日光道中・奥州道中を中心に、東海道箱根関所・宿駅史料も含まれるだけに、簡単に史料蒐集を期限内に限定できないことを痛感させられた。そこで、科学研究費補助金の打切り後も、なお継続して独自に蒐集努力はつづけることを決意した。 東海道箱根関所については、幕末期(慶応1年)の『東海道箱根御関所普請出来形帳』にもとづく。面番所・休息所など大御番所が完全な形で復元工事が進捗中であり、関所遺構(各礎石、石垣、土塁など)の番皆調査も大略終了しているので、筆者としても全遺構の再現以前に、研究著作の完成を期すべく、若干の補充資料も追加蒐集した。特に小田原蕃が直接管掌する箱根・根府川・仙石原・河村・谷ヶ村・矢倉沢の本関・裏関(口留番所を兼帯)の史料も補足し、『小田原市史』通史・史料編も購入した。 日光道中栗橋関所は、天領所在のため、関所番人の転勤が金町松戸関所や甲州道中小仏関所との関連で確認され、両者の史料も豊富に入手できた。特に栗橋関所については、科学研究費補助金による史料調査・整理作業が地元自治体でも認められ、平成15年どより町史編纂の方針が決定、議会も賛成、通過をみた。
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