本年度(2000年度)は、資料の収集と、いくつかの現地調査を行った。また、来年度に刊行される論文と書籍の執筆を行った。 資料の収集は、現在入手しうる女官および女性史関係の資料や書籍を入手、整理した。 女官関係では、古代から現代までの主要論文および基本資料を可能な範囲で入手、その整理と分析をした。とくに明治時代以降の時期の女官論を集めて、『女官』を執筆、来年度の六月に刊行予定である。『女官』では、『牧野伸顕日記』、『河井弥八日記』、『奈良武次日記』、『入江相政日記』、『徳川義怒日記』のほか、国会図書館所蔵の「牧野伸顕関係文書」などの資料を、入手した女官関係文献とともに整理分析した。 女性史関係では、『明治天皇紀』を整理分析して、明治天皇と皇后美子の社会援助事業についてまとめ、来年度三月に「明治天皇の社会事業と軍事援護」と題して『静岡精華短期大学紀要』に掲載予定である。明治天皇のみならず、皇后や女官たちが、どのような社会事業と軍事援護をなしたのかを整理したものである。 この間、『近代日本の上流階級』、『大正天皇』、『椿の局の君』などの著書も刊行され、近代天皇制と女官に関する研究が新しい段階に入ってきた感がある。とりわけ社会史的な手法は来年度からのより積極的にとりいれたい方向である。現在、家族制度関係文献を収集中であり、天皇制国家における家族のあり方、女性の位置について整理中である。
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