本年度(平成14年度)は、蒐集資料をもとにいくつかの論稿を発表した。 前年度までに執筆した『ミカドと女官』(恒文社21)、『雅子妃とミカドの世界』(小学館)に加えて、新たに『四代の天皇と女性たち』(文藝春秋社新書)を執筆した。 現在、上記の論稿の執筆に利用した資料や諸文献を整理して、近代天皇制における女性の社会的位置について、まとめの報告書を作成しようとしているところである。基礎作業として、近代の歴代皇后、女官らの経歴などのデータベース化、諸外国の王室と女性の関係について論じた文献や諸資料のリストなどの作成を進めている。そのほか、新聞や雑誌の切り抜きも再整理している。 なお、現在刊行中の『梅若実』日記に、宮中女官たちの能楽鑑賞の記録が残されており、そうした新しい情報も加筆する予定である。 こうした基礎作業をふまえて、来年度は『近代天皇制における女性の社会的位置』という報告書をまとめたい。
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