研究課題/領域番号 |
12610359
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研究機関 | 久留米工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松尾 一 久留米工業高等専門学校, 一般科目文科系, 助教授 (80249870)
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研究分担者 |
高橋 正郎 久留米工業高等専門学校, 一般科目理科系, 講師 (70311107)
後藤 明信 九州龍谷短期大学, 人間関係学科, 助教授 (00234972)
小宮 厚 久留米工業高等専門学校, 一般科目文科系, 助教授 (20178370)
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キーワード | 真宗 / ジェンダー / 坊守 / 絵系図 / 了明尼 / 覚信尼 / 本願寺 / 仏光寺 |
研究概要 |
日本仏教史におけるジェンダーの問題を、真宗教団の「坊守」制度の特質から明らかにするため、本年度は、これまでに収集した史料群の読解と分析を開始した。とくに関連史料のデータベース化のための準備をはめた。真宗教団には尼寺が存在しないため、真宗以外では尼寺・尼僧の寺名・僧名を基本にデータベースを作成するが、真宗の「坊守」は、多くが在俗の姿で寺院・教団経営に関与したため、尼名をなのるのは後家尼か臨終出家が多い。このためデータベース作成においても、この点への留意が必要となり、キイワード入力前の検討が大切なことが判明した。「坊守」制度を生み出した真宗教団の宗教的属性の問題にも検討の必要が生じてきた。真宗の坊守が、男性の「坊主」が「肉食・妻帯」であったのと同様に、「坊守」がいわば「肉食・夫帯」の宗教活動家であるということである。この点は、真宗教義の特色である「無戒名字の比丘・比丘尼」という視点から検討することとなった。実際に、夫了源の没後に後家尼として仏光寺教団を率いた了明尼、親鴛の末娘として、はじめ日野広綱、没後は小野宮禅念の二夫に嫁ぎ日野一流の寺院として大谷本廟を創建した覚信尼の例を検討した。次いで、末寺レベルでも娘・後家が寺院経営を行った三河上宮寺の事例を検討した。本年度は、とくに夫を欠いた「坊守」が教団・寺院経営に関わった事例を、僧の「いえ」による寺院・教団の護持という視点から検討した。また、その際に教学レベルの問題として、親鷺が「教行信証」化身土巻で主張した「無戒・名字」の比丘・比丘尼論の歴史的展開を仏光寺教団が作成した「絵系図」を使用して分析した。次年度は、これまでの真宗教団の「坊守」に関する調査・研究を基礎として「日本仏教におけるジェンダー」研究の成果とする報告書とする次第である。
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