研究概要 |
本年は、第一の研究課題である東南アジア大陸部関係漢籍史料集成(清代)の作成に向けて、昨年度に引き続き、以下の研究活動を主として行った。その際、研究計画でも述べたように、研究対象地域は、ビルマ、タイを主たる対象とし、ベトナム、カンボジア、ラオスについては、補助的に研究するにとどめた。 1.史料文献目録・解題の作成と史料の所在の調査 昨年度に作成した「タイ関係漢籍史料目録」「ビルマ関係漢籍史料目録」に基づき、史料の所在調査を行い、ほぼ所在確認を終えた。未公刊の清朝档案史料については、北京の中国第一歴史档案館で、文書調査を行い、外交関係の朱批奏摺、軍機処録副などの档案の内容を確認し目録化したが、民族関係の档案については、史料の内容確認が完了しておらず、次年度の課題となった。また、台北の故旧博物院所蔵の文書の内容確認と目録化はほぼ完了したが、中央研究院明清研究所所蔵の文書については内容確認が完了しておらず、次年度の課題となった。 2.史料の収集と抽出、および史料集成の作成 最終年度における史料集成の完成にむけて、本年度は、未公刊史料の収集を主として行った。台北の故宮博物院所蔵の清朝档案については、ビルマ関係史料の抽出をほぼ完了したが、北京の中国第一歴史档案館所蔵の档案については、複写が制限されており書写によるしかないため、所在確認を行った2500件の文書の内、数十件の文書しか収集できなかったので、次年度は内容を精査し重要文書のみ収集することとしたい。また、昨年度に抽出した大清実録、宮中档乾隆朝奏摺、乾隆朝上諭档の東南アジア関係史料と今年度収集した未公刊史料との比較照合を行い、史料集を完成させる予定である。そのほか、ビルマ、タイにおける漢文碑文史料の収集については、タイについては、ほぼ終了したが,ビルマについては、次年度に完成させる予定である
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