研究概要 |
1.今年度は、昨年度に引き続き東洋文庫所蔵の満洲語文献とくに「じょう紅旗〓」(じょう紅旗満洲都統衙門〓案)を中心とした中国・清代の満洲語文書資料を分類・整理した。その研究成果の一部については、The Bordered Red Banner Archives in the Toyo Bunko I(Toyo Bunko,2001)と題して、英文で研究代表者が兼務する財団法人東洋文庫から刊行した。なお、この「じょう紅旗〓」をはじめとする満洲語資料のとりあつかい、とくにデータベース化およびフォントの問題について、米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校におもむき同校のMark C.Elliott副教授と詳細な意見交換をおこなった。 2.この作業と並行して、研究補助者の助力を得て、17世紀前半の満洲語資料である「内国史院〓」の翻訳・整理をおこなった。「内国史院〓」は、清の太祖ヌルハチ、その子ホンタイジ時代の歴史を検討する際の根本資料であるが、正書法確立以前の満洲語で書かれているため、その全容は必ずしもあきらかになっていない。本研究はまだその緒についたばかりであるが、同資料の具体的な史料的価値をはじめて検討しようとするものであり、今後の清初史研究の進展にきわめて寄与するものと考えられる。 3.また併せて、満洲語資料のマルチメディア・アーカイブ化の試験作業をも実施した。具体的に当初はマイクロフィルムの映像化作業をおこなうことにし、「満文清太宗実録(初纂本)」、「満文八旗通志初集」等の資料についてその作業をおこなった。
|