研究概要 |
本研究は、平成12年度より14年度まで3年間継続して実施された。研究は大菊分けて3つに分けることができる。ひとつは、財団法人東洋文庫所蔵の満洲語文献とくに「〓紅旗〓」(〓紅旗満洲都統衙門〓案)の分類・整理であり、その成果の一部をThe Bordered Red Banner Archives in the Toyo Bunko I(Toyo Bunko, Tokyo, 2001)と題て英文で公表した。研究の第二は、17世紀前半の満洲語資料である「内国史院〓」の整理・研究である。「内国史院〓」は、清朝初期、ヌルハチ、ホンタイジ時代を研究する際の根本史料であり、北京の中国第一歴史〓案館に所蔵されている。研究補助者の助力を得ながら、ホンタイジの「天聰五年」(1631年)分と、「天聰七年」(1633)分の翻訳を世界ではじめて行ない、作業はほぼ完成した。後者については近く東洋文庫から出版予定である。あわせて「内国史院〓」の原資料と考えられるホンタイジ時代のオリジナルの満洲語資料「逃人〓」(中国第一歴史〓案館所蔵)の翻訳・研究も行ない、本研究の代表的成果として公表する予定である。研究の第三は、中国、台湾はもとより、日本国内、欧米所蔵の満洲語文献の所蔵調査を実施したことである。これは、満洲語文献、とくに満洲語版本の全世界ユニオンカタログ作成および資料のデータベース化のための基礎調査であり、成果の一部はすでに専門誌上に公開した。
|