本年度の研究実施計画にもとづき、まず研究課題に関する文献(史料・研究書・論文)について、既存の諸リストを整理してあらたに総合的な文献リストを作成した。このなかで、まだ入手していない文献を入手するために、国内の諸機関での所蔵状況をインターネットでの検索によって把握し、大学図書館をつうじて文献の貸与や複写の申し込みをおこなって入手に努めた。また、インターネットでの検索は古い年代の文献まで網羅していない恐れが大きいので、主要な大学図書館に出張して、文献の調査・収集にあたった。以上の作業は、短期間では完璧を期しがたいので、今後も他の作業と平行して補完していく必要があると思われる。その後、入手した文献の読解・分析作業を行ったが、これには多大な時間と労力が必要であり、当然ながら今年度中にはまだ完了していない。研究課題は大きなテーマであるので、上記の作業をつづけている間に、テーマを絞り込むことを同時に検討していった。スペイン中世の歴史の機軸をなすレコンキスタとの関連を切り口としているので、13世紀のレコンキスタが大きく進展した時代を焦点として、その中で騎士団がどのような役割をはたしたのか、このあたりに的を絞って当面の分析・検討をおこなった。スペインのキリスト教国家が複数あり、騎士団も複数存在し、またレコンキスタの対象となったイスラム国家についての検討も必要であるということで、分析は複雑で困難だった。さらに前途多難だが、着実に個々の問題を解決しつつ、成果を挙げていきたい。
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