本年度の研究実績 最終年度にあたる本年度は、帝国記念日(Empire Day)の実施母体であるオンタリオ州教育省が発行した教師向けのブックレットの詳細な分析をおこない、帝国記念日で説かれた主張(カナダ(オンタリオ州)とイギリス帝国との紐帯の維持や、イギリス帝国への帰属意識の育成の必要性)の変化を分析し、それを、カナダ内部、および、カナダを取り巻く社会、とりわけ、大西洋世界の状況と関連づけて考察した。 具体的な実施内容は、以下の3点に集約できる。 1.第1次史料(帝国記念日に関する史料)の収集と分析 研究成果をまとめるにあたって必要な補足的史料(オンタリオ州教育省、新聞、支援団体などの史料)を収集・分析した。これらの史料を所蔵するオンタリオ州文書館およびトロント大学図書館(いずれもトロント)にて調査を実施した。 2.第2次史料(カナダ史、イギリス帝国史、加米関係史)の収集と読解 第1次史料の分析結果を、カナダ内部、およびカナダを取り巻く社会、とくに英米加の大西洋世界の歴史的状況と結びつけるため、第2次史料を検討した。 3.研究報告書作成と論文発表 平成12年度から実施してきた本研究の成果を総括すべく、研究報告書作成に取りくんだ。あわせて、論文執筆や学会口頭発表をおこなった。
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