昨年度は「時空間の変容」の問題を、記念碑、特にナチス時代とホロコーストの記憶に関する記金碑が戦後においていかに設立され、それがいかに変容してきたのかを、戦前における歴史的な記念碑と比較対照しながら、その歴史的変遷を調べていったが、今年度も夏にはドイツを訪ね、資料の収集と記念碑の訪問およびデジタルカメラによる撮影を行ない、その成果は数度の研究会および学会報告において発表した。まとめの年に当たる今年度は、その成果をいくつかの共著において公表した。また、日本におけるさまざまな議論や論争(戦没者の弔いや表象をめぐる議論や論争、教科書問題、他者をめぐる問題など)に関する著作を総括しながら、東京の靖国神社や戦没者墓地、人島と長崎における原爆犠牲者・花岡事件における中国人強制連行労働者とその犠牲者の記念碑による表象の実態を探るために・現地を訪ね・デジカメによる撮影をおこなった。そのことによって、ドイツにおける問題が普遍的な性格をもつことを明らかにしていった。
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