研究課題/領域番号 |
12610409
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
柳田 俊雄 東北大学, 総合学術博物館, 教授 (40140462)
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研究分担者 |
阿子 島香 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (10142902)
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キーワード | 大分県早水台遺跡 / 前・中期旧石器時代 / 光励起ルミネッセンス / テフラ / テフロクロノロジー / 岩石学 / 編年と地域性 / 石器群 |
研究概要 |
平成13年2月27日〜3月8日までの10日間、大分県速見郡日出町に所在する早水台遺跡の発掘調査をおこなった。この調査では、遺跡のほぼ中央に位置する平坦な台地を発掘区として選定し、3×9mの範囲を約1.2m深掘した。調査の結果、上位より、縄文時代早期の押型文土器を出土する文化層(土器片・石器片、約300点)、中位より後期旧石器時代の石器群の文化層(石器片、数点)、下位より前・中期旧石器時代の石器群の文化層(石器・砕片、約1500点)を層位的に検出した。特に、下位の安山岩角礫層より発見された石器群は、36年前に東北大学芹沢長介名誉教授が当時前期旧石器時代の石器群と指摘されたものに相当する。この石器群は今回の調査の層序の検討結果から近年九州地方で確認されている姶良Tn火山灰(AT)〈約2.4〜2.5万年前〉や「黒色帯」(BB)よりも下位にあることが判明し、確実に3万年前を遡る石器群であることが確認できた。さらに今回の調査では、この石器群の年代観を絞り込むために、検出された層に対する光励起ルミネッセンス(OSL)による年代測定と、同層に含まれるテフラの同定を依頼した。また、石器の原石についての産地同定をおこなうため、岩石学・地質学等の両研究者にも参加していただき、遺跡周辺のゼネラル・サアベイをかけた。今後、これらの調査結果については各分野からまとめられるが、今年度の発掘で早水台遺跡最下層の石器群の検出と層位確認作業をできたことが大きな調査成果となった。また、理化学的年代測定法やテフロクロノロジー(火山灰編年学)等を導入し、石器群の年代観を知ろうとする試みも実施することができた。まずは、早水台遺跡最下層の石器群の年代観を明らかにし、それを踏まえて日本列島内の当該期の地域性の有無やその特徴を言及したい。
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