研究概要 |
平成13年9月15日〜 9月26日までの11日間、昨年度に引き継いで大分県速見郡日出町に所在する早水台遺跡の発掘調査をおこなった。この調査では、昨年度発掘したグリッドの東側を6×6mの範囲で拡張し、表土から約1.6mを深堀した。調査の結果、上位より、縄文時代早期の押型文士器を出土する文化層(土器片・石器片、約300点)、中位より後期旧石器時代の石器群の文化層(石器片、数点)、下位より前・中期旧石器時代の石器群の文化層(石器・砕片、約600点)を層位的に検出した。特に、今年度と昨年度に発掘された資料を合わせると、その点数は約1000点にのばる。今年度の発掘成果によって、本石器群の全体像を理解するために必要な資料点数を確保することができ、定量的な分析が可能となった。昨年度からの2回に渡る発掘調査で得られた本道跡の安山岩角礫層より出土した石器群は、37年前に東北大学芹沢長介名誉教授が当時前期旧石器時代の石器群として指摘したものに相当しよう。この石器群は層序の検討結果から近年九州地方で確認されている姶良Tn火山灰(AT)<約2.4〜2,5万年前>や「黒色帯」(BB)よりも下位にあることが判明し、確実に3万年前を遡る石器群であることが確認できた。今後、早水台遺跡最下層の石器群が年代的にさらにどこまで遡るかを明らかにし、その位置づけを明らかにしたい。また、資料の分析をすすめるにあたって、早水台遺跡最下層の石器群の様相について技術型式学的方法を駆使し、日本列島並びに周辺地域の当該期石器群との比較をおこない、その特徴について言及したい。
|