今年度は初年度の基礎作業として、(1)墳丘墓の分布調査、(2)測量調査、(3)朝鮮半島における積石塚の比較調査、の3件にかかわる実地調査をおこなった。 (1)および(2)については、東四国における弥生終末期から古墳初頭にかけての墳丘墓の動向を把握すべく、徳島県域での積石塚古墳の分布調査と墳丘測量調査を実施した。分布調査を行ったのは徳島市眉山北西斜面一帯である。その結果、徳島市八人塚古墳の周辺には数基の積石塚を含む当該時期の墳丘墓が分布することがわかり、そのなかには前方後円墳が含まれる可能性の高いことも判明した。積石塚を主体とする古墳群として把握することが可能である。このうち盗掘のために埋葬施設の一部が露出した新規発見の方形小規模墳丘墓(古墳名は未登録)についての墳丘測量調査を実施した。 また兵庫県揖保川流域については、瀬戸内海対岸にあって東四国との密接な関係をもつために、比較調査の対象地域として設定し、本地域の初期前方後円墳として著名であるが、墳丘測量調査が不十分であった揖保川町養久山1号墳にたいする墳丘測量調査を実施した。 (3)については現大韓民国ソウル市近郊に分布する石村洞古墳群の調査を実施したほか、西暦3・4世紀代の墳丘墓、および朝鮮半島各地で発見された当該時期の倭系文物(日本列島産の考古資料)にたいする実地調査をおこなった。
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