今年度は第2年次として、1前方後円墳の墳丘測量調査、2堅穴式石槨の実測調査の2項目に主眼を置いて調査研究を実施した。 墳丘測量調査を実施したのは板野郡板野町愛宕山古墳である。測量調査の結果、全長65m、後円部径44m、後円部高7m以上の前方後円墳であることが判明した。また墳丘の一部には葺石が露出している場所が数地点で確認されたので、小規模な発掘調査(清掃作業)を実施し、墳丘の裾部をおさえることができたほか、埴輪片を採集するにいたった結果、築造年代の手がかりが得られた。本調査によって、西暦4世紀代における徳島県下最大規模の前方後円墳の資料化を達成することができた。 竪穴式石槨の実測調査は、同愛宕山古墳後円部竪穴式石槨と徳島市勢見山古墳竪穴式石槨について実施した。このうち愛宕山古墳については、使用石材の簡単な鑑定を実施し、石槨内部における結晶片岩石材の発色別使用状況を図下することができた。勢見山古墳については、側面観の図下は現状では不可能なため、平面図の作成と断面模式図の作成に限定して実施した。なお麻植郡鴨島町所在の円墳(古墳名は未登録)に対する墳丘測量調査および竪穴式石槨実測調査については、本年度も地権者の同意を得られず断念せざるをえなかった。 このほか古墳の分布調査については、前年度に引き続き徳島市眉山周辺、板野町愛宕山古墳周辺を中心に実施したが、対象地域を網羅するには、なお数回の調査を要する。
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