研究概要 |
1海外での調査研究 朝鮮半島では3月・6月に韓国全谷里遺跡の年代把握を目的として漢陽大学校裴嚢基同教授との共同調査を実施した。全谷里遺跡の年代については、これまで20〜4万年前と推定されていたが、日本の科学者の協力を得て、新たにFT年代測定、K/Ar年代測定、火山灰分析を実施し、本遺跡の旧石器包含層ならびに堆積物の年代決定に関する重要なデータを得た(この成果は次年度中に外国の学術誌に発表予定)。また韓国で石刃技法関係資料をまとまって出土した忠清南道石壮里遺跡(於延世大学校)、全羅南道ジヌングル遺跡(於朝鮮大学佼)出土遺物の資料調査と情報交換を実施した。 9月中〜下旬には中国の山西省考古研究所(丁村・下川・柿子灘遺跡など)、河北省文物考古研究所(板井子、新廟庄、籍箕灘,干家溝遺跡など)、中国科学院古脊椎動物与古人類研究所(周口店第15地点・許家窰、王府井、峙硲遺跡など)において中期〜後期旧石器時代の資料調査・デジタル画像撮影ならびに情報交換をおこなった。また古脊椎動物与古人類研究所において、同研究所・社会科学院考古研究所・北京大学の研究者を文像に「日本の旧石器」と題して講演をおこなった。 2国内の調査研究 本年度は、石刃技法が特異な発達をみた東北地方(岩手県内の後期旧石器時代遺跡を対象)、朝鮮半島に地理的に近接した九州地方(熊本県、佐賀県、長崎県)の後期旧石器時代資料を中心に資料調査、データ収集をおこなった。
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