2002年5月3日、韓国で開催された「全谷里旧石器遺跡記念国際学術会議」において、岩手県金取遺跡旧石器文化層の火山灰層序学に基づく年代的位置付けと石器群の評価に関して、火山灰の予備的分析結果を踏まえて「日本列島最古の旧石器文化」と題して口頭発表。また同会議において2001年度に漢陽大学校裴基同教授と実施した共同研究「全谷里旧石器遺跡の年代解明」の研究成果を檀原徹ほかと共同発表。遺跡基盤岩(玄武岩)のK/Ar・FT年代測定によるクロスチェック、上部風成堆積物中からAT火山灰(24Ka)およびK-Tz火山灰(100Ka)の検出、堆積率の算定、堆積物の粒度分析、酸素同位体編年ステージ(OIS)への対比に基づき、全谷里遺跡の年代の一端(300Ka)を把握することを可能とした。2002年度には、中国の黄土編年との対比、補足火山灰分析、堆積物の磁化率測定・TL年代測定に向けてのサンプリングを実施した。 同9月19〜27日、中国河北省・山西省にまたがる泥河湾盆地の旧石器時代遺跡において、河北省文物管理局、山西省考古研究所、中国科学院古脊椎動物与古人類研究所の研究者並びに日本の科学者と共に予備調査を実施し、地質・地形解析、黄土編年、火山灰分析、K/Ar・FT年代測定、古地磁気年代測定等の総合的な研究に基づく高精度の年代軸の確立に向け各種情報の収集をおこなった。 同7月18日〜21日、前年度に引き続き、岩手県金取遺跡検出火山灰の同定精度を高める目的で、北上低地・北上山地において比較資料としての火山灰層序の確認とサンプリングをおこない、火山灰分析を依頼した。 同11月23日〜12月1日の期間、中国科学院古脊椎動物与古人類研究所の李超栄副研究員を招聘し、東北、関東、中部、近畿の後期旧石器時代初頭石器群の観察と意見交換をおこなった。
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