本研究では今年度、台湾総督府編纂国語読本の国語学的な(特に語彙論的な)研究のための基礎的資料としての用語総索引の作成を中心に作業を行った。 台湾総督府編纂国語読本の収集は一部第IV期、第V期に未収集のものがあるが、現在所在不明のため、収集済みのものから順に底本を確定し、本文の入力、校正を行った。現在第II期、第III期、第IV期の教科書本文の入力と校正が終了している。未収集の国語読本については引き続き調査を続ける。 今年度は最初の用語総索引作成のため、まず、国語読本第I期を対象に単位(長い単位)の決定、用語総索引作成のための単位の並べ替えのプログラムの作成、単位切りと索引データの並べ替え、データベースソフトACCESS上での見出し語データの入力とソート、印刷を行った。そして、用語総索引作成上の問題点について検討を行い、作成のための手順を決定した。結果、当初KWIC形式でのデータのアウトプットを予定していたが、利用上の利便を考えて文単位でのアウトプットに変更した。また、当初はテキストファイル上での作業を予定していたので、字体は現在常用のものを使うことにしていたが、本文通りの字体とルビの使用についてJIS水準以外の文字コードを使う等の可能性を来年度再度検討することにした。 さらに来年度実施予定の国語読本の言語分析のための資料として品詞別語種別一覧の作成を用語索引作成と並行的に着手した。現在作成されている語彙一覧との比較研究を考慮して品詞と語種の種別を決定し、第I期教科書について品詞と語種を入力した。
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