研究概要 |
今年度は,次の(1)と(2)の調査・研究を行った。 (1)日常会話の録音・文字化 (2)既存資料を使った話しことばのとりたて助詞「こそ」の分析 (1)については,平均30分程度の会話を約10本,MDに録音し,その文字化を行った。録音された会話は,話しことばの特徴が出やすいインフォーマルなものが多い。文字化はまだ正確で統一されたものにはなっていないが,話しことばにおける主題・とりたて助詞のおおよその傾向を知ることができるようになりつつある。 (2)については,既存の話しことば資料である『女性のことば・職場編』や「男はつらいよ」シリーズの映画シナリオを使って,「こそ」の用法を分析した。書きことばと比較するために,書きことば資料として,新書の文章を使った。その結果,次の(a)や(b)のようなことが明らかになった(野田,2001発表予定,参照)。 (a)「こそ」には,特立・譲歩・反論の3用法がある。書きことばでは特立の用法が圧倒的に多いが,話しことばでは反論の用法が多い。 (b)「こそ」は現在,衰退しつつあり,排他の「が」や対比の「は」で代替される傾向がある。特にインフォーマルな話しことばでその傾向が強い。]
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