平成12年度は、設備投資という面では、データ処理の高速化のため、ウィンドウーズ2000me搭載の新型パソコンと大型プリンター、入力端末のモバイル・ギアを購入した。またソフトについては、『CD-ROM角川古典大観源氏物語』を購入し、『源氏物語』の唐物・交易史関係のデータを入力しはじめた。 また調査旅行では、6月半ばに福岡市の鴻臚館跡と大宰府跡の調査をした。とくに古代の渡来品で、秘色青磁とよばれる陶磁器について、集中的に調査を行った。その結果、九世紀後半より越州窯から海を渡って大宰府にもたらされた青磁器は多かったか、秘色とよばれるのは、その中でも限られた特上品であることが判明した。そうした品々が、平安の宮廷で使われ、『宇津保物語』や『源氏物語』といった文学作品に登場することが明らかになった。その調査結果については、「幻の「秘色」青磁との出会いを求めて」(「紫」二十号、2000・8)にまとめた。 九世紀後半より十一世紀半ばまで交易された越州窯の陶磁器について、さらに調査するため、『貿易陶磁』(臨川書店)をはじめ多くの関連書籍を購入したり、関係論文のコピーを収集した。2月半ばには関西に調査旅行し、大阪市立東洋陶磁美術館・奈良国立博物館・京都国立博物館を巡って、陶磁器をはじめ唐物を閲覧したり、図録を集めるなどして、現在さらに念入りな調査を続行中である。
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