研究課題/領域番号 |
12610456
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
宗像 和重 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (90157727)
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研究分担者 |
金井 景子 早稲田大学, 教育学部, 助教授 (20318744)
高橋 世織 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (50163267)
高橋 敏夫 早稲田大学, 文学部, 教授 (20236300)
十重田 裕一 早稲田大学, 文学部, 助教授 (40237053)
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キーワード | 森鴎外 / 怪物 / 大菩薩峠 / 絵画 / 宮沢賢治 / 横光利一 / 1920年代 / 国語教育 |
研究概要 |
本年度は、資料の調査・収集を通して、それぞれの視点と方法からアプローチしていく個別作業を中心とした。 宗像和重は、書物や出版メディアと文学の問題を主な対象とし、早稲田大学図書館・国立国会図書館などでの調査のほか、奈良県の天理大学附属図書館において、おもに森鴎外の蔵書の調査に従事。とくに、原稿や蔵書への書入れの問題を通して、活字とのかかわりを考察した。 高橋敏夫は、近代の「怪物」研究の一環として、中里介山『大菩薩峠』を考察。登場人物の身体的な異形性や、逸脱を続ける物語そのものの異形性などを、トータルにとらえることを試みた。また松本清張を媒介に、ミステリーが1990年代の中頃からホラー的なものに近づいてきたことを考察した。 高橋世織は、「絵画と文学のセッション」という視点から、文学における描写やスケッチの問題に照明をあて、絵画との関連を探った。また宮沢賢治・荒川修作らに即して、手紙というメディアがそれぞれの表現行為にもたらしたものの意味などを掘り起こした。 金井景子は、国語教育と文学、教材としての文学作品の問題を中心として、教材提示装置などを駆使した「教材提案のかたち」(早稲田大学国語教育学会)を実践報告。また、幸田文の「水の風景」をテーマとした『ふるさと隅田川』(ちくま文庫)を編んで、編集という作業と実際的にかかわった。 十重田裕一は、大正期の横光利一をてがかりとして、外国文学受容の問題を出版メディアとの相関性のもとに検討。また、近代日本の国語政策と作家との関連を、同じく横光利一に即して考察したほか、同時代の作家や文壇との関わり、研究史の展望なども含めて、文学と文学研究の機制を把握することに努めた。
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