研究課題/領域番号 |
12610465
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
刈間 文俊 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00161258)
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研究分担者 |
ラマール C. 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30240394)
村田 雄二郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (70190923)
代田 智明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60154382)
吉川 雅之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30313159)
伊藤 徳也 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10213068)
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キーワード | 中国 / 近代 / 言語 / 東アジア / 朝鮮 / 香港 / ベトナム / 国語 |
研究概要 |
今年度は冬学期に東京大学教養学部で、「漢字文化圏の言語と近代」と題する一、二年生を対象とするリレー式講義を開講した。この講義はラマール、村田を中心とし、研究分担者の多くが参加したもので、研究成果に基づく議論を紹介した。この講義では国民国家の成立と言語の関係、ことばと権力の関係、文字表記をめぐるさまざまな政治的力学について、相互に意見交換を行い、その知見を学部生にわかりやすく紹介した。特に漢字文化圏と呼ばれるひとつの緩やかな文化共同体の中から、19世紀後半の政治変動を通じて国語が析出されていく構造的に共通のプロセスが明らかになり、中国語、日本語、韓国語、ベトナム語の国家語としての成立について相互比較の視点がもたらされた。文字表記についても、現在かな、ハングル、漢字など普通に知られているもの以外にも、アルファベットを用いた文字表記の試みが、キリスト教宣教師によってなされるなど、非漢字文化圏との接触や交流が、東アジアの言語的近代化においても、大きな役割を果たしたとの指摘が提起された。要するにヨーロッパを中心とする国際秩序の再編に直面した東アジアが言語の面においても主体的に「近代化」に取り組んだ歴史が講義を通じて浮き彫りになったのである。
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