本研究の対象とする三大文書群のうち、一年目の今年は、分量的にも一番少く、かつ資料が釈文・写真とも殆んど全て公表されているトルフアン文書に研究の中心を置いた。敦煌文書については、影印資料集の整備、とりわけ未発表未公開の資料の整備に重点を置いた。正倉院文書については、中国資料(敦煌・トルフアン)との比較研究の方法論について検討し、予備的調査を行った. (一)トルフアン文書…図文対照本『吐魯番出土文書』四冊に載せるトルフアン文書約千八百点につき、文字・釈文・語彙につき詳細に検討を加えた.ここに含まれる多くの口語語彙につき『吐魯番出土文書・口語語彙索引』として成果の集成を行った.さらに検討を重ね、この索引中の語彙に簡釈を附す作業を二年度に引続き行う. (二)敦煌文書…未発表・未公開の資料を多く含む影印資料集を購入整備することができた.『俄蔵敦煌文献』をはじめ、『焦水城〜』『天津芸術博〜』『上海博〜』『上海図〜』『北京大学〜』『甘肅〜』『浙江〜』など、既刊の多くを整備できた.(三)正倉院文書…『正倉院古文書影印集成』既刊十三冊のうち、一〜三册につき『大日本古文書』の釈文を検討した。
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