本研究の対象とする三大文書群のうち、二年目の今年の重点を敦煌文書に置いた。一年目に引き続き敦煌文書の影印集成の購入に努め、今迄見ることの不可能であったロシア・エルミタージュ博物館所蔵の影印資料『俄蔵敦煌文献』とほぼ網羅でき、研究の基本条件が整備された。敦煌文献のうち、研究が比較的進んでいる文学文献と対比しつつ『敦煌社会経済真蹟釈録』5冊に含まれる文書につき、文学・釈文・語彙の面から詳細に写本学研究を行った。これら資料に含まれる口語語彙につき『敦煌社会経済真蹟釈録・口語語彙索引』として成果の集成を行った。三年度にはこの資料に簡釈を附す作業を進める。 トルフアン文書については再度の精読を進め「口語語彙索引」の補訂を行い、簡釈を附す作業を進めた。 正倉院文書については、『正倉院古文書影印集成』既刊十四冊のうち、四〜六冊につき『大日本古文書』の釈文を検討した。
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